在宅医療」とは、「病院以外の場所において」行なわれる医療のことで、年齢や自立の程度、あるいは持病の種類に関わらず利用できるものです。

「在宅」という言葉からは、医師が患者本人の自宅を往診する姿がイメージされがちですが、もちろんそれがメインとはなるものの、たとえば老人ホームやグループホームなどの介護施設で行われる医療行為もまた、在宅医療に分類されます。


ただし定義としてそうであっても、現実の在宅医療では60歳以上の高齢者が主となりますし、その自宅を医師や看護師が訪問して診療することが、ひとつの典型になっています。

そしてその終着点は、「住み慣れた自宅での安らかな看取り」ということになります。

在宅医療の検討にあたってまず大切なのは、訪問診療を行ってくれる医師を探すことですね。

それはすなわち、自分の住む地域で在宅医療を行なう医師や看護師が所属する医療機関を見つけることです。

その要となるのが「在宅療養支援診療所在支診)」、あるいは「在宅療養支援病院在支病)です。

訪問診療医在宅医)を中心に、多様な職種の人々が連携して提供される医療サービスが「在宅医療」です。


これらの職種の他にも、訪問リハビリに関わる理学療法士作業療法士・言語聴覚士、そして日々の介護・在宅療養に関わる栄養士担当ケアマネジャー・訪問ヘルパー、さらには鍼灸師・マッサージ師等も、在宅医療をサポートする職種と言えます。

訪問リハビリテーションとは~概要と今後の課題

さらに行政や地域との架け橋として地域包括支援センター・社会福祉士・民生委員らが提供するサポートも、広い意味での在宅ケアに含まれます。

在宅医療にかかる費用について、利用者として知っておきたい点を整理します。


在宅医療訪問診療)は、医療保険が適用されます。

訪問診療の費用は、「訪問診察料」×回数分+「在宅時医学総合管理料」が基本になります(個々の項目は、以下でご説明します)。

在宅医療の費用(1)~訪問診療費について に続き、患者の在宅療養の中心ともなる「訪問看護」を利用したときの費用についてご説明します。


訪問看護ステーションからくる看護師は主治医の「訪問看護指示書」にしたがって来訪しますが、看護師だけの訪問も珍しくありません。

ただし訪問看護師だけが来る場合でも、必ず医師が出すこの「訪問看護指示書」に基づいてサービスを提供しなくてはなりません。

主治医が特にいない場合は、訪問看護ステーションの紹介する医師が、これを発行することもあります。

在宅医療を担う人々と、その仕事 でご説明したように、在宅医療の中核を担う存在が「訪問看護師」です。

日本で就業している看護師は、全国で102万人弱(2012年現在)。その中で「訪問看護師」の数は、わずか3万人程度(2014年現在)に過ぎません。

国が今後の中核的政策として進める「在宅医療の強化」を考えあわせれば、その供給数は、現時点ですでに大きく不足しています。

「訪問看護」というサービスがほとんど機能していない市町村も、現状決して少なくないようです。訪問看護の求人に対し、希望する看護師の割合が圧倒的に少ない状況であり、需要と供給の大きなミスマッチが生じています。

在宅医療の要となる訪問診療は、医師が定期的に(月に2回以上)患者の自宅を訪問し、必要な医療サービスを提供するものです。


具合が悪く病院に行けない状況で医師が駆けつける「往診」も、その仕事の一端となりますが、訪問診療は「在宅医療計画書(訪問診療同意書)」に基づき、より計画的な診療が行われます。

診療の前に本人の意向と病状を聞くのみならず、家族との生活状況や介護の状態、経済的な問題など本人をとりまく様々な点を踏まえ、関係者や家族とも相談しながら柔軟に診療を行います。

事前に決めた日時に患者の自宅に出向いて診療を行いますが、具合の悪い時だけでなく状態の安定している時にも訪問して、患者の体調管理やアドバイス等も行います。

訪問診療とは 在宅医とかかりつけ医 で述べた「在宅医のなり手不足」が起きている背景には、何があるのでしょうか。

全国の在宅療養支援診療所の届出数は平成19~22年で2千程度しか増えず、やや伸び悩みが続いています。都市部での整備が進む一方、地方ではあまり新設が進んでいないようです。

在宅療養支援診療所(在支診)とは その概要と動向

自分の家族が暮らす地域で在宅医療を行なっている医師がいるのか、そしてその探し方について情報を求めている方は、少なくないでしょう。


まず現時点で本人が退院前か、あるいはすでに自宅で介護を行っている状態かでも、手始めとなるアクションに違いが出てきます。

現在入院中で、これから退院して在宅での医療ないし介護に移るという場合は、まず病院の「医療相談室」を訪ね、医療ソーシャルワーカー(MSW)に相談してみましょう。

彼らは地域の在宅療養支援診療所等を把握していますので、最適と思われるところをいくつか紹介してくれるはずです。

国が在宅医療を推進する理由は財政面からもわかりやすいところですが、患者本人やその家族にとっての在宅医療の利点(メリット)とは、何でしょうか。

まず最初に指摘すべきは、何と言っても「住み慣れたわが家でリラックスした状態で診療を受けられ、療養できること」でしょう。