在宅医の探し方と、その注意点



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自分の家族が暮らす地域で在宅医療を行なっている医師がいるのか、そしてその探し方について情報を求めている方は、少なくないでしょう。


まず現時点で本人が退院前か、あるいはすでに自宅で介護を行っている状態かでも、手始めとなるアクションに違いが出てきます。

現在入院中で、これから退院して在宅での医療ないし介護に移るという場合は、まず病院の「医療相談室」を訪ね、医療ソーシャルワーカー(MSW)に相談してみましょう。

彼らは地域の在宅療養支援診療所等を把握していますので、最適と思われるところをいくつか紹介してくれるはずです。


また介護保険の利用が必要な場合はMSWが手配をしてくれたり、地域の担当ケアマネジャーを紹介してくれたりしますが、介護保険の要介護認定の申請には時間がかかることから、入院時にすでにケアマネジャーがついているケースも多いはずです。

地域の在宅介護に携わるケアマネジャーは医療機関の情報も持っていることが多いので、あわせて相談してみるとよいでしょう。


ただしケアマネジャーが所属する介護事業所の意向を受けていたり、医療分野への関心が薄かったりで、必ずしも患者本人にとって最適な情報をもたらしてくれるとも限りませんので、一つの情報源だけに寄りかかって決断することはおすすめしません。

必ず複数の情報源にあたり、入手可能ならば利用者の評判や口コミなども参考にしつつ、比較しながら決めていくようにしましょう。


また、地域を担当する「地域包括支援センター」に相談するのもよい方法です。在宅療養支援診療所や訪問看護ステーション等の情報が集まっています。

地域包括支援センター


市町村の医療相談窓口でももちろんOKですが、特定の医療者についてよく把握していなかったり、あるいは恣意的な情報提供を避けるため単にリストを渡す程度のところもありますので、じっくりと相談にのってもらうには、地域包括支援センターのほうが良いでしょう。


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その他の窓口として、お住まいの地域の保健所・医師会の相談窓口・近所にある居宅介護支援事業所や訪問看護ステーションを直接訪ねて相談することもできます。

少なくとも次のアクションをどうすればよいかについて、それなりの回答が得られるはずです。


ネット上の相談窓口をあわせて活用したい場合は以下がありますが、これら以外にも、民間NPOなどが独自に活動しているケースがあります。

ただしNPOはその数も多く、組織としての信頼度が低いところも無いとは言えませんので、情報を集める時に注意が必要です。

サービス提供機関の情報(医療機能情報)(WAMNET)
家庭医療専門医制度 専門医一覧(日本プライマリ・ケア連合学会)
会員リスト(HomeCaresNet 全国在宅療養支援診療所連絡会)


在宅医選びで大事なポイントはいくつもありますが、依頼するにせよしないにせよ、まずはその医師と直接面談することが大事です。

在宅医療に対する考え方や実際の状況、専門分野等を確認する必要があります。

ちなみに小規模診療所からかかりつけ医を探す場合、やはり介護的医療が中心になることが多いので、まずは内科系の医師から探すほうがよいでしょう。


在宅医療の普及を妨げる、在宅医のなり手不足 でも説明したとおり、在宅医の看板は掲げていても、諸事情からあくまで施設医療を主に活動していたり、あるいは24時間対応を行っていない医師も多くいます。

客観的データの立派さではなく、本人の在宅療養・治療にその医師が最適な関わり方をしてくれるかどうかで、依頼しなくてはなりません。


また、在宅医療は本人のみならず、家族の問題でもあります。

本人の意思だけで決めず、療養に関わる家族もその医師と会って話し合い率直に質問や相談をするほうが、よい結果が得られることでしょう。


見落としがちな点として、自宅とその在宅医の「物理的な距離」の問題があります。

要するに、「定期訪問や緊急の往診時にどれくらいの時間で到着できるか」ということです。

車だと「直線距離で片道約20~30分以内」に診療所があることが最も望ましいとされますが、特に地方では難しいことが多いかもしれません。

冬の積雪期など、時期によって動きが制限される地域にお住まいの場合もあるでしょう。この点も対応が可能かどうか、確認が必要になります。


距離的なハンディを少しでも埋めるため、テレビ電話などを導入して「遠隔在宅診療」を試みる医療機関等も出てきていますが、いまだ実験段階の域を出ていません(現在は、遠隔診療の対象となる病気も限定されています)。


また、在宅医に診療してもらうためには、これまで治療してもらった病院から「診療情報提供書紹介状)」を提供してもらう必要があります。

医師としても、まったく医療情報を持っていない状態で「在宅医をお引き受けします」ということはまずありませんので、現在の担当医師に、退院前にその作成を頼んでおくことになります。


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