在宅医療の費用(1)~訪問診療費について



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在宅医療にかかる費用について、利用者として知っておきたい点を整理します。


在宅医療訪問診療)は、医療保険が適用されます。

訪問診療の費用は、「訪問診察料」×回数分+「在宅時医学総合管理料」が基本になります(個々の項目は、以下でご説明します)。


利用者が支払うのは医療保険の自己負担分、すなわち70歳未満はその3割、70歳以上は1割になります。

(ちなみに自宅ではなく施設に入居して訪問診療を受けている場合は、「在宅時医学総合管理料」が「特定施設入居時等医学総合管理料」に変わります。)

ただし介護保険の利用者は、この金額に「居宅管理指導料(290円/回、ただし月額580円が上限)がプラスされます。

これは患者や家族への療養生活上のアドバイス提供・指導に関わる費用です。


なお何種類もの医療機器を使っていたり、あるいは末期がんの場合や定められた要件を満たした看取りが行われた場合には、さらに別途の管理料や看取り加算が追加されることがあります。


基本的に、「病状が重く慎重な体調管理が必要になってくるほどに、訪問診療費用も多くかかる」と考えておくとよいでしょう。

逆に病状が安定しており、月2回の定期訪問による体調管理が主というケースでは、保険が適用されている限り大きな費用負担が生じることはありません。


また健康保険の自己負担限度額には上限がある(高額療養費制度)ため、費用が青天井になることを心配する必要はありません。

高額療養費制度を利用される皆さまへ【PDF】(厚生労働省)


医療機器のレンタル等も健康保険の範囲内で収まりますが、もし健康保険適用外の機器や材料を使った場合は、自費による負担となってしまう点に注意が必要です。

ちなみに病気の種類にもよりますが、神経難病など一定の特殊な病気においては、申請することで費用の減免や免除がなされるケースもあります。詳細については退院前に、病院の医療ソーシャルワーカー等に相談するとよいでしょう。


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訪問診療費の内訳項目について、個々の内容を見ていきます。


訪問診療にかかる「訪問診察料」は、一回ごとに診療報酬で830点(1点=10円計算、8,300円)が加算されます。訪問診療は最低で月2回以上と決められているので、月1回しか訪問がない場合は対象外となります。

(ちなみに診療報酬とは、国が決めたいわば「医療サービスの公定価格」です。付与点数を多くしたり少なくしたりすることで医療機関が受けとる金額に差をつけ、医療内容について政策的に誘導することができます。)


最低月に2回以上訪問した時に加算されるのが、「在宅時医学総合管理料」です。

これは訪問診療とは 在宅医とかかりつけ医 でご説明した「定期的な訪問診療」と緊急時の「往診」によって、点数上の差がつけられています。


在宅医療では、訪問診療を手がける「在宅療養支援診療所がどのようなタイプか」によって、診療報酬の点数にずいぶん開きがあります。


「24時間対応をしない」在宅療養支援診療所の場合の在宅時医学総合管理料は2,200点なのに対し、24時間対応を行なう場合は4,200点、在宅療養支援診療所(在支診)とは その概要と動向 でご説明した「機能強化型」の在宅療養支援診療所は4,600点と、付与する点数に大きな差をつけています。

国としては明らかに、チームを組んで24時間対応を行なう在宅療養支援診療所を政策的に増やしていきたいわけです。


たとえば、通常の在宅療養支援診療所から月4回の訪問診療を受けている70歳の方(介護保険も利用中)の場合、2,200点+830点×4回+580円の計算となり、自己負担1割で6,100円となります。

これに対し、24時間365日対応を行っている在宅療養支援診療所の場合は、同じ条件で計算すると4,200点+830点×4回+580円で8,100円となり、通常の診療所に比して高くなります。

在宅医療である以上、24時間365日対応でなくては安心できない...という方は、費用が高くつくことを踏まえて後者を選ぶことになりますね。


以上が「在宅医の訪問診療」に関わる費用の概略ですが、これにくわえて看護師が行なう「訪問看護」の費用も必要になります。

訪問看護サービスの費用については、在宅医療の費用(2)~訪問看護と医療保険・介護保険でご説明します。


次の記事は「在宅医療の費用(2)~訪問看護と医療保険・介護保険」です。

ひとつ前の記事は「在宅医療を担う人々と、その仕事」です。


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