在宅医療の費用(2)~訪問看護と医療保険・介護保険



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在宅医療の費用(1)~訪問診療費について に続き、患者の在宅療養の中心ともなる「訪問看護」を利用したときの費用についてご説明します。


訪問看護ステーションからくる看護師は主治医の「訪問看護指示書」にしたがって来訪しますが、看護師だけの訪問も珍しくありません。

ただし訪問看護師だけが来る場合でも、必ず医師が出すこの「訪問看護指示書」に基づいてサービスを提供しなくてはなりません。

主治医が特にいない場合は、訪問看護ステーションの紹介する医師が、これを発行することもあります。


在宅医について適用されるのは医療保険のみですが、訪問看護のサービスでは医療保険と介護保険のどちらか片方を使うことになります(両方の併用はできません)。

と言っても、利用者が好きな保険を自由に選べるわけではなく、医療保険・介護保険のそれぞれにおいて、年齢と病気の種類(介護保険の場合は、さらに要介護度も加わる)によって区分された条件があり、それを満たしていなくてはなりません。

訪問看護ステーションの大部分はどちらの保険でも対応できるようになっているので、利用者としてもその点は安心です。


「国が保険の対象とする疾病」も、医療保険と介護保険で同じというわけではありません。


また双方で対象となっている疾病は、「介護保険が使える場合、まず介護保険からの給付を優先する」と、健康保険法で定められています。

医療保険と介護保険における「厚生労働大臣の定める疾病等」の取り扱いについて【PDF】(全国訪問看護事業協会)


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介護保険では国が定めた「16の特定疾病」があり、この対象となるかどうかで扱い(自己負担額の割合など)も異なってきます。

(介護保険を使うケースについては、介護保険の被保険者なのに介護サービスが受けられない場合とは をご参照。)


一方、厚生労働大臣が定める疾患(末期がん等、20種類の難病)の場合は主治医が「特別訪問看護指示書」を発行し、医療保険で対応することになります。


訪問看護は「提供するサービスの内容」でなく、「訪問看護の時間や回数」で費用が計算される点は医療保険・介護保険に共通ですが、その中身は異なります。


医療保険で訪問看護ステーションを使えるのは原則として週3回までですが、このような終末期や病状悪化時などの例外時は、回数制限が外れることになります。


介護保険は1回ごとの算定額が利用時間によって決められており、また要介護度別に利用限度額が定められているため、ケアプランに基づきその枠内で利用しなくてはなりません。(ちなみに医療保険の制度において「利用限度額」というものはありません)。

介護保険を使って訪問看護を利用する場合の自己負担額は原則(支給限度額の範囲内で)1割ですが、医療保険では70歳未満は3割・70歳以上は1割負担が原則となります。


利用者にとって、訪問看護の費用はつまるところ、「自己負担額がいくらになるか」という問題になるはずです。

しかしながら、上記のようにどちらの保険が適用されるか、また患者の病名や現在の病状など複数の状況の組み合わせでも変わってくるため、どうすれば費用がもっともかからないのかをすぐに把握できないことも確かです。


医療ソーシャルワーカーケアマネジャーなど、専門家に相談しながら決めていくことが必要になりますね。


次の記事は「在宅医療 普及のキーポイント~訪問看護師の増加」です。

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