在宅療養後の再入院に備えて~診療情報提供書・看護サマリーの入手



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退院後の在宅医療~問われる本人・家族の意思では、本人の退院後にスムーズに在宅医療に移行するため、家族として注意すべき点について記しましたが、ここでは「本人の現在の病状にかかる医療情報」を家族が用意することの大切さについて、ご説明します。

病院を退院した後、どの在宅医(在宅医療チーム)に訪問診療等をお願いするかの「探し方」については在宅医の探し方と、その注意点で述べたとおりですが、病状の悪化によって入院を再び迫られる事態になったとき、必ずしも同じ病院に再入院できるとは限りません。


同じ病院なら仮に担当医が交代したにせよ、過去の(電子)カルテも追えるため、情報の伝達は比較的スムーズにいくでしょう(ちなみに医師法上の医療カルテの保存義務は5年間です)。

しかし、たとえば「退院後に在宅療養を続けていたが1~2年後に病状が悪化し、以前とは別の病院で入院治療が必要になった」といったケースにおいては、本人の現在の病状にかかる医療情報がなにより必要であるにも関わらず、きちんと揃えて医療関係者に手渡すのが難しいことが、現実には少なくありません。


相談を受けた側は、当然まず家族からヒアリングすることになりますが、家族は自分たちの感触や意見・あるいは希望を話におり混ぜてしまうことが多く、再入院に至るまでの正しい事実関係(病名・退院時の病状・退院後の経過等)を把握したうえで適切な病院・医師のもとに導くことは、仲介する側にとって容易なことではありません。


在宅医(かかりつけ医)がいる場合、入院までの手配を全面的にお願いすることも少なくないでしょうが、基本的に月2回しか訪問しない在宅医が、担当患者の過去の経緯や現在の療養状態について十分に把握しているとは限りません。

また療養中に担当の在宅医や訪問看護師が交代することも珍しくないため、本人や家族との十分なコミュニケーションがとれていない場合もあるでしょう。


少なくとも在宅医療を始める以前にかかる本人の医療情報は、入院先の医療機関が変わった場合に備えて、家族としてもきちんと用意できるようにしたいものです。


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まず、これまで入院していた病院の担当医から「診療情報提供書」を入手します。

これは患者本人の情報に加え、これまでの診療経過や治療にかかる情報を記載した書類です。

一般に「紹介状」と呼ばれてはいますが、医療機関同士での医療の継続性の確保を目的としており、記載内容は専門的なものです。

あわせて、過去の検査記録や診断画像などが添付される場合もあります。


再入院を希望する病院や医師が入手時点ではっきりしていないときは、担当医に事情を説明し、宛先を空欄にした診療情報提供書をもらうこともできます。

ちなみに診療情報提供書の作成は有料ですが、健康保険が適用されます。


もう一つ、一般の人には馴染みのない書類ですが、病院の看護師の看護記録から退院時までの看護経過にかかる情報を抜粋・要約した「看護サマリー」というものがあります。

看護サマリーの書式や発行にかかる費用は病院によって異なりますが、診療情報提供書を補完する情報として、極めて重要なものです。

病院側から提出を求められることもありますので、こちらも忘れず入手しておくようにしましょう。


次の入院先が確定した後はこれらの原本を提出する必要がありますが、はっきりしていない段階で地域の医療相談窓口などに相談する時は、コピーを持参すると話がスムーズに進みます。


これらは再入院時の必要書類であるだけでなく、在宅医療のスタートにあたって担当チームのカンファレンス等で共有されるべき必須情報でもあることは、言うまでもありませんね。


次の記事は「在宅で行われる、主な医療処置(1)」です。

ひとつ前の記事は「在宅療養と胃ろう~本人・家族が考えるべきこと」です。


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