在宅で行われる、主な医療処置(1)



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在宅で行われるものであっても治療は「医療行為」であり、一定の条件下でのごく一部の行為を除いて、医師・看護師など定められた者以外が行うことは、医師法等で禁じられています。

「患者の家族」についても同様ですが、現在の法解釈上は「医師の適切な指導管理の下、目的の正当性・必要性・緊急性等定の要件に照らしそれを満たしているならば」、行った家族の違法性までは問わないとされています。

【PDF】医事法制に置ける自己注射に係る取扱について(厚生労働省通達)


したがって家族としても患者の日々の療養に関わる以上は、非常時は医師の処置を仰ぐにせよ、在宅医療にかかる基本的な知識を持つように努める必要があります。

在宅医療では通常、病状に応じた管理用の医療機器が自宅に設置されます。

在宅医の判断に応じて自宅で出来る医療処置は異なってきますし、また造設のため病院への再入院が必要になるケースもあります。


たとえば治療・身体管理のための管を体内に入れている場合に管が詰まったり抜けたりしないよう、あるいは処置に派生した感染等を起こさないよう、家族も日々のケア(医師法上の「医療行為」と区別して、「医療的ケア」とも呼ばれます)にかかる概要と手順について、ある程度理解しておく必要があります。


在宅で行われる以下の主な医療措置について、概要を順にご説明します。

(1) 輸液(点滴)による経管栄養
(2) 在宅酸素療法(HOT)
(3) 排泄管理
(4) セデーション(苦痛の緩和)
(5) リンパ浮腫・褥瘡の治療とケア


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(1)輸液(点滴)による経管栄養

輸液(点滴)を在宅で行う場合、いくつかの方法があります。

在宅患者の脱水治療や終末期の治療において、比較的安全に輸液をする方法として「皮下輸液法」があります。

腹壁の皮下等にプラスチック製の針を挿し、輸液を少しずつ行うものです。ただし皮下輸液法は主に水分補給のために行われ、高濃度・高カロリー輸液の本格的な供給には適していません。


口から食べることができなくなった時の本格的な栄養補給を目的として、人工的に造設した管を通して(経管)、胃や腸に栄養や水分を直接入れていくのが「経管栄養」です。

もっともよく知られた経管栄養法は、胃に管を直接に通して栄養を入れる「胃ろう」です。胃ろうは造ることが容易で、経口食との併用可能などのメリットもありますが、逆流による嘔吐等を起こすリスクもあります。


また、病院での簡便な手術によって胸の静脈に(CVポート)を埋め込み、皮膚の外側からカテーテルを通じて輸液を送り込む「経静脈栄養法(CVポート)」というやり方もあります。

経静脈栄養法では体外に露出する部分が無いことから入浴も行え、また一度カテーテルを入れた後は数ヶ月使えることから、自宅で長期に渡って輸液を続ける場合などに適します。

ただしカテーテルの管理をきちんと行っていない場合の感染症リスク、異物の埋め込みに起因する合併症の併発リスク等に注意が必要です。


胃ろう等の「経管栄養法」や「経静脈栄養法(CVポート)」については、在宅療養と胃ろう~本人・家族が考えるべきこと も、ご参照下さい。


(2)在宅酸素療法(HOT)

在宅医療が必要な患者は、持病に伴い呼吸困難を併発することが、珍しくありません。

間質性肺炎や肺気腫・肺がんなどによる呼吸困難の症状がある患者に対し、家庭用の「酸素濃縮器」を購入やレンタルによって設置し、自宅における酸素吸入治療をサポートするのが、この「在宅酸素療法(HOT)」です。

酸素濃縮器のご家庭への設置は、医師が必要と判断し指示書を出すことにより、医療機器業者を経由して行われます。

酸素濃縮器のみならず、停電時など非常用の酸素ボンベや外出用の携帯酸素ボンベも、必要に応じレンタルできます。


在宅酸素療法(HOT)は医師が治療の必要性を判断する「医療行為」であり、設置費用については健康保険の適用があります(介護保険ではありません)。

また多くの市区町村において、設置費用や使用電気量の負担軽減の助成も行われているので、お住まいの市町村の担当課に問い合わせてみるとよいでしょう。


(3)~(5)は、次の在宅で行われる、主な医療処置(2)でご説明します。


次の記事は「在宅で行われる、主な医療処置(2)」です。

ひとつ前の記事は「在宅療養後の再入院に備えて~診療情報提供書・看護サマリーの入手」です。


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