在宅で行われる、主な医療処置(2)



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在宅で行われる、主な医療処置(1)の続きとして、以下の医療処置について解説します。


(3)排泄管理

消化器系・泌尿器系の病気で肛門や膀胱が閉鎖された人に対し、人工的な排泄口を造設するのが「ストーマ」です。

「ストーマ」には「消化管ストーマ(人工肛門)」や「尿路系ストーマ(人工膀胱)」があり、最初は病院で手術により造設されますが、造設後は特別な機器を使うこともなく、自宅で排泄の管理を行うことができます。

ちなみにストーマの保有者は「オストメイト(Ostomate)」と呼ばれます。

ストーマでは、排泄物をいったんパウチ(袋)に溜めてから捨てるやり方になるため、パウチの洗浄や皮膚のかぶれを防ぐための皮膚保護材の交換等の、定期的なケアが必要になります。

ストーマには永久的なものと、後から閉じることができる一時的なものがありますが、永久ストーマ造設を受けた方は身体障害者手帳の申請・交付によるストーマ用装具の給付申請等を受けることができます。また医療費控除や障害者控除の対象にもなります。


寝たきりでトイレに行けなくなった場合、あるいは前立腺肥大症等で自力での排尿が難しくなった場合などは、尿道から膀胱に管を入れ、設置したバルーンに一定期間尿を溜めておく「膀胱留置カテーテル」が造られる場合があります。

膀胱留置カテーテルでは一日に1~2回、パックにたまった尿を廃棄しますが、ドレーン(体内に溜まった尿を外に排出する管)の操作や、尿の色・量について日々の観察も必要になります。なおカテーテルは約4週間ごとに、新しいものに交換していきます。


在宅医療の現場で見かけることの多い膀胱留置カテーテルですが、カテーテル閉塞(カテーテル内がアンモニウム結石などで詰まる)や尿路感染症の発生リスクが高いため、安易に長期間の留置をせず、また設置後も早期の抜去を心がけるべきとされます。

しかしながら現実は、頻繁なおむつ交換や尿失禁対応が難しいなどのいわゆる「社会的理由」によって、長期間留置されたままのケースも少なくなく、尿路感染症のリスクを防ぎ難いことが問題とされています。


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(4) セデーション(鎮静・苦痛の緩和)

がん治療の過程等で生じる身体的・精神的な苦痛を、鎮痛薬等を使って意識水準を下げて緩和することを、「セデーション」と呼びます。

特に終末期の患者に対しては、(それまで様々な緩和治療を行ってきたにも関わらず、取り除きにくい苦痛を感じさせないことを目的とする)「ターミナルセデーション」と呼ぶこともあります。


がんの疼痛治療においては、1980年代に世界的に標準化された治療方針「WHO方式がん疼痛治療法」)が、すでに確立しています。この方式は安全性も高く、かつて行われた調査でも9割以上のがん患者の痛みが緩和できたとして、その有効性が立証されています。


痛みの強さや持続時間、また副作用の有無によっても、使用する薬剤の種類や量が異なってきますし、また内服薬か点滴かなどの服用方法も変わってきます。 また鎮静薬とあわせて、鎮痛補助薬が使われることもあります。

痛みには身体的苦痛のみならずスピリチュアルペイン(精神的苦痛)も含まれるため、治療においては睡眠薬や抗うつ剤が併用されることもあります。


緩和ケアとは~あらゆる病気を対象に、本人の様々な苦痛を取り除く
【PDF】がんの療養と緩和ケア(国立研究センター がん情報サービス)


また一日に何種類もの薬を常用している場合、薬の飲み合わせやそこから生じかねない副作用リスクなどにも、注意を払わねばなりません。

家族としても、医師や薬剤師とよく相談することが必要でしょう。


(5) リンパ浮腫・褥瘡の治療とケア

がんの手術によるリンパ切除やリンパの流れの停滞によって甲状腺の機能が低下し、全体的に腫れ上がりむくんだりする症状が「リンパ浮腫」です。上半身だと肘の上下、また下腹部や脚の付け根あたりにも多く出現します。


【PDF】がん治療とリンパ浮腫(国立研究センター がん情報サービス)


通常は訪問看護師がリンパ・マッサージや弾性着衣・弾性包帯などを用いたいわゆる「圧迫療法」、そして運動療法等を組み合わせて治療を行いますが、これらは通常のマッサージや運動とは異なった、専門性の高い治療になります。


寝返りが打てないために皮膚や筋肉が壊死するのが「褥瘡(じょくそう)」、いわゆる「床ずれ」です。低栄養状態が続くことも、褥瘡の一因とされています。

体位移動に気をつけながら、栄養状態の改善を心がけることによって褥瘡は良化していきます。介護保険の福祉用具レンタルサービスを利用して、専用の体圧分散寝具を導入することも有効です。


褥瘡(じょくそう)と予防~施設より高い、在宅介護での発生率
福祉用具・介護機器等のレンタル・販売と、福祉用具専門相談員。


褥瘡の発生によって皮膚も弱ってくるため、保湿クリームの塗布など日常的なスキンケアも必要になってきます。


動くこともままならない本人にとって褥瘡が日常的な苦痛とならぬよう、訪問看護師がケアするのは当然ですが、家族も下着を清潔に保つ・あるいは患部の保湿に気を配るなど、ケアについての基本的な理解を深めつつ、家族としてできることに心を配るべきでしょう。


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